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一般には理解できない高金利業者(闇金)の仕組み

 石鍋法律事務所ホームページ開設に当たりブログを始めました。今回のテーマは高金利(ヤミ金)の仕組みについてです。

 最初に、トイチ、トニ、トサン、トヨン、トゴ、これ何のことかわかりますか。これらはヤミ金の利息のとり方の略語です。それぞれ順番に10日で1割、10日で2割、10日で3割、10日で4割、10日で5割の略です。

 このような利息のとり方が許されるのか、法的にどのような問題があるのか、をお話しする前に、貸金の利息に関する我が国の法的規制について触れておきます。

金銭の貸し借りに関する基本的な法律としては利息制限法があります。これは、貸付額に応じてどの範囲で利息を付すことができるかを定めた法律です。具体的には貸付額が10万円未満の場合には年利2割、10万円以上100万円未満の場合には年利1割8分、100万円以上の場合には年利1割5分となっています。

 では、この利息制限法の数値を超えた利息を前提として金銭の貸し借りをした場合、その合意は無効になるのでしょうか。原則としては無効になりません。正確に言うと民事上は無効なのですが、利息制限法に違反した場合の取締規定がないため、契約自由の原則に従い、当事者がその内容で合意した場合にはその合意内容が通ってしまうのです。

 それではどのような合意内容でもいいかというと、そうではないのです。実は一定の年利を超えてしまうと、民事上ではなく刑事上無効となり、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)に抵触することとなり刑事罰の対象となるのです。その限界線についてはかつては年利40.004%、つい最近まで年利29.2%でしたが、平成19年に法改正がなされ、現在では年利20%が限界線となっています。

 この民事上無効だが刑事上お咎めを受けないという利率の範囲を俗にグレーゾーンと呼んでいますが、出資法が改正される前の消費者金融あるいは信販会社の貸付はこのグレーゾーンの範囲内で行われていたのです。

 ところで、先のトイチ、トニ、トサン、トヨン、トゴを年利計算するととんでもない数値になっていることがわかります、それぞれ、年利365%、年利730%、年利1095%、年利1460%、年利1825%となり、刑罰の対象となる出資法の限界値の何十倍も上の数値であることがわかります。

 次に、ヤミ金の貸付方法についてですが、私が受任したケースの場合、通常は貸付額から第1回の利息を天引きして渡します。例えば、30,000円の貸付で利息が10日で3割だとすると、10日の利息分9,000円を差し引いて21,000円を渡します。ですから手渡した金額は21,000円ですが、貸付額は30,000円としてヤミ金業者に計算されるのです。そして、10日毎の支払利息は貸付額30,000円をベースに9,000円を毎回支払っていくことになるのです。また、中には、返済予定日までに全額の支払いがないと、利息分だけを払わせておいて、形式的には新たな貸し付けをした形にすることがあります。ジャンプといわれる方法で、いわゆる商工ローン業者はこのような返済方法を取ってきていましたが、ヤミ金の中にもこのような返済方法を取っているところがありました。

 では、ヤミ金から借り入れした場合どのような状況で完済となるかというと、利息に加えて元金(貸付額)を一括して返済しないと完済にならないのです。ですから、先の例でいうと貸付元金30,000円で利息トサンの場合9,000円を何回返済しても完済になりません。9,000円プラス貸付額30,000円の合計39,000円を一括返済してはじめて完済契約終了となるのです。

 それから、ヤミ金から借り入れをしたのち、全く覚えのないヤミ金から借り入れの勧誘が来ることがあります。この勧誘業者はかつて借り入れをしたヤミ金業者と資金提供者(スポンサー)が同一である可能性が高いのです。

 私はこれまで数百社のヤミ金業者について受任してきましたが、ヤミ金の事件を受任した場合、依頼者の方から詳細な聞き取りを行います。いついくら借りたか、契約額と手渡された金額にずれはないか、約束した金利は10日(あるいは7日)でどの程度だったか、どのように返済していったか、などを詳細に確認し、証拠化していきます。

 業者によっては貸付に際し車両や小切手を担保として取ったケースもありましたが、これらは無事返還されましたし、担保として取った車両の返還に複数回立ち会ったこともありました。金銭の貸し借りに関する十分な証拠がそろっている場合には過払金返還訴訟に持ち込み全額勝訴したケースもありました。

 ヤミ金の貸付、返済、完済についてこれまでの事件処理の経験からわかったことをお話ししました。一般人の理解を超えた仕組みがそこにはあるのです。

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