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笑う相続人

 民法では法定相続人の範囲を配偶者・子・直系尊属(親)・兄弟姉妹(およびその子)としています。この内容を見ると相続はあまり複雑ではないように思うのですが、実際には全く縁のない親族が相続人として登場してくる事も少なくありません。

 私の経験でもこんな事がありました。

ご主人の遺産分割の処理でその奥さんから相談を受けたのですが、依頼者はすでに夫の両親は亡くなっているので、妻である自分と生存している夫の兄弟姉妹に相続権があると判断し、戸籍等の取り寄せをして金融機関に提出すると、金融機関から思わぬ報告を受けたというのです。金融機関いわく「ご主人に認知されたお子さんがいますよ」。そんなはずはないと思って戸籍を見ると確かに古い戸籍の中に認知された子供の記載がありました。ご主人は認知しただけで、その後は出産した女性が引き取り育てていたようで、依頼者は認知された子とは一度もあった事もなく全く面識はありません。しかし面識がなくても認知した以上、非嫡出子として第1順位の相続人となり、夫の兄弟姉妹よりも優先される事になったのです。そこで依頼者はこの認知された子と連絡を取って遺産分割の話をまとめてほしい、ということでした。私は依頼を受けたのち、戸籍を追跡して現在の本籍地を確認し、現在の本籍地の戸籍の附票を取って住所を確認し、その住所に事情を説明した文書を送付し、法定相続割合に従った遺産分割の内容で認知された子に納得してもらいました。本件を法定相続割合に従って説明すると次のようになります。本来妻と子(妻から生まれた子)は各2分の1の相続権をもっていますが、認知された子は妻から生まれた子の半分の相続権しか民法上は認められておりません。ですから本件では依頼者と認知された子は4分の3対4分の1という相続割合になります。

  遺産が全く縁の薄い親族に引き継がれる状況を「笑う相続人」と表現されることがありますが、この笑う相続人は一般的には兄弟姉妹の代襲相続人(甥姪)が典型例とされているようですが、本件も笑う相続人の一例になるのではと考えております。もっとも、このケースの場合、依頼者としては他の共同相続人が兄弟姉妹か非嫡出子かで取得割合が変わらなかったのが救いでした。

 ところで、遺産分割は協議が整わなければ、家庭裁判所の調停に持ち込まれます。ここで家庭裁判所の調停で何が議論されるか、簡単に整理しておきましょう。

 まず、相続人の範囲が問題になります。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ相続人に漏れがないかどうかを確かめる必要があります。戸籍の取り寄せの作業は交渉の段階でも調停の段階でも必ず必要になります。家庭裁判所はもちろん、生命保険会社あるいは金融機関と相続財産の交渉を行う場合には必ず戸籍の取り寄せを細かく要求されます(これは金額の多少に関係ありません)。場合によっては相続権がないといって争ってくるケースもありますが、民法上の相続廃除の手続をとっていない限りは相続権がないという主張は認められませんし、相続排除の手続自体もかなり難しい手続です。

 次に、遺産の範囲が問題となります。被相続人の妻であればまだしも、被相続人の遺産の範囲を他の相続人が完全に把握することは困難です。ですから、調停手続の中で任意で提出してもらったり、場合によっては文書送付嘱託の申立を家庭裁判所に行うなどして情報を整備していきます。

 そして遺産の評価が問題となります。預貯金など具体的に金額が定まっている物は評価は変わらないのですが(ただし死亡時の金額になります)、不動産については往々にして評価が分かれます。業者の簡易査定を通常は資料として提出しますが、これで決着がつかないと鑑定の手続に入ることになります。

さらに、遺産から差し引かれる費用が問題となります。一番問題となるのが葬儀費用ですが、昨今では葬儀費用として認められる金額もかなり制限されてきており、100万円から150万円ぐらいが相場となってきているようです。

 以上、遺産分割のアウトラインについて説明いたしました。親族間の争いは「骨肉の争い」と表現されますが、血がつながっていて、しかも日常生活の中で接触する場面が多いだけに、話がこじれると厄介な事になります。 また少子化傾向に向かっている昨今、今後相続の現場では誰が相続人かわからず「笑う相続人」が発生する場面も増えてくる可能性もあります。公正証書の形で遺言書を作成するなど事前に対策を講じておく必要があるかもしれません。 

                                       弁護士 石鍋毅 Takeshi Ishinabe

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